
”オーステナイト系ステンレス”とかいう説明を見たんだけど、これって何?

ステンレスの分類のことだよ。たくさんあるステンレスの種類をその特長別に分けて呼ぶんだよ。
ステンレスを分類する方法は大きく分けて『主要元素から分類する』『金属組織から分類する』という2通りの方法があります。
ステンレスの分類の解説は、そのとっつきにくい名前だったり、専門用語が多いことから混乱しがちです。
今回は、この複雑なステンレスの分類方法について、押さえておきたい基本的な考え方を解説します。
1.分類の方法

ステンレスの主要元素については知ってる?

クロム(Cr)とニッケル(Ni)!…あと鉄(Fe)!

そう。JIS規格では「ステンレス鋼」を「クロム(Cr)含有率を10.5%以上、炭素(C)含有率を1.2%以下とし、耐食性を向上させた合金鋼」と定義しているよ。鉄はもちろんステンレスの主成分(50%以上)だね。

ニッケル(Ni)が入っていないステンレスもあるの?

クロム系に分類されるSUS430にはニッケルの含有量は規定されていないよ。ただ、このSUS430も
カタログによっては”フェライト系”と紹介されていたりもする。前者が主要成分からの分類、後者が金属組織による分類だね。

なんで、複数の種類で分類する必要があるの?

それは、ほとんどのステンレスがクロムとニッケルが主要元素だから。
主要元素から分類してしまうとすべて『クロム系』か『クロム・ニッケル系』のいずれかになってしまう。そのステンレスの性質を説明するには少し大雑把すぎるんだ。
2.ステンレスの分類

このように、金属組織から分類すると5つになります。
3.分類の考え方・由来
分類の考え方として、まずステンレスの基本的な金属組織は『フェライト(フェライト系)』か『オーステナイト(オーステナイト系)』、と覚えてください。そこに熱処理や合金元素の調整などを加えるなどして、組織を変化させたり共存させたりしたものが『マルテンサイト系』や『2相系』、『析出硬化系』と呼ばれるものです。
このように金属組織を変化させることでさまざまな特性を持ったステンレスが作られています。
言い換えると、ステンレスの特性を決定しているのは金属組織ともいえるため、金属組織からの分類が必要になってくるわけです。

クロム系でマルテンサイト系で、オーステナイト系と2相系というのもあって…。
だめだ…、全然頭に入ってこない…。

聞きなれない言葉だからね。それぞれの金属組織の名前の由来を紹介するよ。
- フェライト …ラテン語で鉄を意味する『Ferrum』から。『フェッルム』と発音するらしいです。
- オーステナイト…イギリスの冶金学者『ロバーツ・オーステン』が発見したから。
- マルテンサイト…ドイツの冶金学者『アドルフ・マルテンス』が発見したから。

名前の由来が分かると少し親近感が生まれるかな?
以下に、分類それぞれの特徴を簡単にまとめています。
4.分類別の特徴

5.まとめ
- ステンレスは主要元素から分類すると、クロム系とクロム・ニッケル系で分類できる。
- 金属組織から分類すると、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系、2相系、析出硬化系に分類できる。
- 基本的な金属組織はフェライト系か、オーステナイト系。そこに熱処理や合金元素の調整などをしたものが『マルテンサイト系』や『2相系』、『析出硬化系』である。

今更なんだけど、この分類って一体なんのためになるの?

本当に今更ね…。分類の考え方が分かると、知りたい鋼種の分類でその大まかな特徴が分かるのよ。
例えば、合金元素はフェライト系よりもオーステナイト系のほうがニッケルが入っているため多いですから、
”価格を考えるなら” ⇒ フェライト系<オーステナイト系となります。(SUS430はSUS304よりも安い)
マルテンサイト系は硬度は高くできますが、耐食性を高める合金は添加されていないため、
”耐食性を考えるなら” ⇒ マルテンサイト系<析出硬化系やオーステナイト系となります。

つまり、私の剣はマルテンサイト系でだから錆びやすかったのね!

いえ、たぶんそもそもステンレスじゃないわ。(それ鋼の剣…)