図面には材質の指示が書いてあります。お客様からの要望には、多くの場合、材料の指定がありますし、決まった材料が供給されて日々生産が行われています。しかし、
『何でこの部品には鉄じゃなくてアルミを使っているのか?』
どれくらいの人がこの質問に答えられるでしょうか。日々自分も取り扱っている材料なのに、現場の第一線で働いている営業や製造の先輩社員も含めて、これが分かっている人は決して多くありません。逆に言うと、これがわかると一歩も二歩も先に進むことができます。

何でこの材料を使っているかなんて、考えたこともなかったな…。

大丈夫!考える視点を持つだけで、全然違うんだから!
この記事では、ものづくりで最も使用されている材料、「鉄とアルミの違い」について分かりやすくまとめています。新入社員の方、若手の方にとってのヒントになればうれしいです。
鉄とアルミ、それぞれの特徴とは?
鉄(主に炭素鋼)
- 重い(比重約7.85)
- 強度が高い
- 磁性あり
- 錆びやすいが、表面処理で対応可能
- コストが比較的安い
- 溶接性が良い
アルミ(純アルミやアルミ合金)
- 軽い(比重約2.7 → 鉄の1/3)
- 腐食に強い(特にアルミ合金)
- 非磁性
- 導電性が高い
- 加工性が良い(切削・プレスなど)

表にまとめてみたよ。
特性 | 鉄 | アルミ(アルミニウム合金) |
---|---|---|
比重 | 約7.8 | 約2.7 |
強度 | 高い | 中程度 |
耐食性 | 錆びやすい | 錆びにくい(酸化皮膜形成) |
熱伝導率 | 中程度 | 高い |
磁性 | あり | なし |
加工性 | 溶接しやすい・切削OK | 切削・プレス加工に優れる |
コスト | 比較的安価 | やや高価 |

材料によってこんなに特性があるんだなぁ。
よくある誤解:「アルミ=最強の材料」?
現場では「軽くて錆びないからアルミが良い」という声をよく聞きます。

アルミは高価で高スペックな材料っていうイメージがあるな。
車のホイールだってアルミホイールは高くてかっこいいけど、鉄のホイールは安物って思っちゃう。

鉄とアルミで価格差はもちろんあるけど、それだけで考えるのは間違いだよ。
アルミにもデメリットはあります。
例えば――
- 溶接が難しい
- 鉄に比べて変形しやすい
- 耐熱性が低い
- 引張強度や硬度、耐久性が劣る
「全部アルミで作ればいいじゃん」という発想は、実はリスクがあります。
製品の使われ方で材料は変わる

鉄とアルミで、実際の使われ方はどうなのかな?
部品 | 材料 | 理由 |
---|---|---|
車のエンジンマウント | 鉄 | 高温・高強度が必要 |
車のボディパネル | アルミ | 軽量性と強度の両立 |
モーターや発電機のコア | 鉄 | 鉄の磁性を活用 |
ノートパソコンの外装 | アルミ | 軽さと放熱性が重要 |
建築用の支柱 | 鉄 | コストと構造強度重視 |
シャフトやギアなどの機械部品 | アルミ | 切削性や強度が重要 |


材料は「使われ方」で選ばれているんだ。
現場で活かすために覚えておきたい3つの違い

でも、材料の特性って材料毎にいっぱいあって何から覚えたらいいんだろう…?

先ずは以下の3点を意識するようにしよう!
- 強度・加工性
→ 製品の安全性や加工コストに関係します - コスト(経済性)
→ 材料そのものの価格だけでなく、加工コストや製品寿命なども含めた総合的なコスト評価が重要です - 耐食性や耐熱性などの環境適応性
→ 使用環境に応じて、腐食しにくいか、高温や低温に耐えられるかといった特性も重要です
まとめ:材料の「なぜ?」に強くなろう

鉄とアルミの違いを知ることで、材料選定の理由が見えてきます。
図面に書かれた材質記号が「ただの記号」から「意味ある選択」に変わるはずです。

「なぜこの材料が使われているのか?」を自分で考える姿勢が重要なんだね!

まずは鉄とアルミから、材料の違いに強くなっていこう!