私は鉄鋼業の営業として10年間働いていました。そのくらいになると、モノづくりの面白さも、現場の大変さも経験し仕事にも慣れてくる頃だと思います。ただ、年々感じる「将来への不安」。工場の閉鎖、人材不足による過重労働、待遇の伸び悩み……。そんな製造業で働く私たちだからこそ、転職という選択肢を考える機会が増えているのではないでしょうか。
転職は簡単に進めてはいけない重要な決断です。私は転職における重要な視点が抜けていたため、後悔が残る転職をしてしまいました。
『自分には転職できるようなスキルがあるんだろうか』、『業界や職種を変えてみたいけど、自分には何が合っているんだろう』、『10年後も同じ働き方ができるだろうか』、『年収アップできる転職は自分にもできるのか』
そんな『転職したい気持ちはあるけど、失敗して後悔したくない』方に向けて、何よりも転職で後悔しないために、必ず押さえておくべき“3つの視点”をお伝えします。
①「辞めたい理由」の正体を明確にする
『工場が(営業が)思う通りに動いてくれない…』、『自分はもっと成果を出しているのに、年功序列の給与に納得できない』、『張り合いがないルート営業に飽きてしまった』、『繰り返されるライン作業に飽きてしまった』
製造の会社に勤めていると、こういった不満は生まれてくると思います。
ただ、あなたがそれによって転職を考えているのなら、それを漠然とした不満のままにしないでください。
「工場(営業)とどういう連携がしたいのか」、「評価して欲しいもの・評価しなくていいものは何か」、「業務に飽きてしまった原因は何か・どうすれば飽きないのか」
辞めたい理由を深掘りして、その正体を明らかにすることが必要です。
最初は漠然とした不満であったり、友人や同僚に愚痴を言えば忘れてしまうような嫌なことだったかと思います。ただ、少しでも悩んでいるのならばそれはあなたにとって重要な問題のはずです。
私は、『ルート営業に飽きてしまい、新たな環境でチャレンジしてみたい』という漠然な不満で自分の問題を片付けてしまっていました。
これは、転職によって“何を解決したいのか”を可視化する重要なプロセスです。是非紙に書き出して問題に向き合ってみてください。
②自分の理想の未来を具体的にイメージする

転職の成功とは、転職によって実現したい理想を叶えること
転職を成功させた後の理想の未来をイメージできていますでしょうか。
転職の成功とはなにか、それは人によって違います。転職の成功とは、転職によってその人が実現したい未来を獲得することだからです。
転職した後の理想の状態について、イメージをしてみてください。前述した不満が解消している状態とは何なのか考えるとイメージがしやすいかもしれません。
「国内だけじゃない海外の顧客ともやりとりがある職場」、「今伸びている業界で新しいテクノロジーにふれられる仕事」、「夜勤はない職場」、「個人評価してもらえる会社」
世間の常識にとらわれず、あなた自身のオリジナルな考えで明確にします。
そして、イメージした理想の未来と今の職場にいる状態とのギャップを考えてみてください。
ここでも書き出してみることを是非してください。中には今の職場でも達成できる理想も出てくると思いますが、それはそれで大切にしてください。次のポイントで解説します。
理想の最優先事項は何か
理想の状態と今の状態とのギャップを埋めるために、最も優先したい項目は何か考えてみてください。
それがあなたの今の悩みであり、実現したい理想であり、転職の軸となるものです。
転職の選考時も転職の決断時にも、この優先順位付けは重要になります。これが、転職理由であり、その企業への志望理由であり、内定を受けるかどうかの指標になるからです。
ここは何度も繰り返して考え直して、しっかりと自分で答えを出してください。私もそうでしたが、その日によって考え方が変わってしまいイライラする時もあるかもしれません。
ただ自分の将来について考えるタイミングというものは、人それぞれです。悩んだ時に、『今が自分の将来を考えるタイミングなんだ』と心に決めて、納得するまで考え抜いて欲しいです。
③ 転職しか方法はないのか思考する

ここで、今までの考えを否定するような言い方をしてしまいますが、しっかり考え抜いた自分の考えについて、今一度それしか方法がないのか立ち返ってみてください。
考え直してみてください。転職しか方法がないわけはありません。
- ”今の職場では理想の年収が叶えられないから転職する” ⇨ ”副業で稼ぐのは?”
- ”妥協をしない責任感がある人達と働きたい” ⇨ ”同じ価値観の仲間は増やせられないか?”
- ”妻も仕事を続けたいから、転勤が無い職場がいい” ⇨ ”パートナーの理想の働き方は考えたか?”
何も転職をするなと言いたいわけではありません。様々な選択肢を検討した中で、転職が最良なのか、このポイントは転職で叶えることがいいのかそれとも他の方法を取るのか、しっかりと検討することが重要です。
私はいざ転職活動を進めて行った際に、理想の実現のために進めていた転職活動がいつの間にか、今の不満から逃げるための方法に変わっていると感じた場面が何度もありました。
焦って決断することは後悔の元です。よく言われることですが自分が当事者になると、焦りや忙しさの中で、この重要な視点が抜けてしまう時があります。
『それしか無いわけはない』
少し、肩の力を抜いて気楽に考える視点も持っていてください。
「市場価値」を知るための行動を起こす
製造業で働く人の勘違い
私は製造業の(ルート営業の)職務経験は市場価値が低いものと思っていました。
『個人で成果を出せた経験なんてない』、『決まったことを決まった通りこなすことしかしていない』、『仕事を納期通りこなしているだけ』
これらは一見価値のないものに取られがちですが、意外と武器になるのです。
製造業では常にチームでの活動が求められてきたと思います。チームの中での自分の役割、その役割を果たすために考えたこと、実行したこと。それが役割なんだから当たり前と思うかもしれませんが、他の職場にとっては非常に重要な仕事をこなしていたことになります。
繰り返される作業の中でも、工夫したことや意識したことはありませんか。
「似た部品の規格を合わせて効率化した」、「自分でマニュアルを整備して効率化に努めた」、「何とか納期を順守するために試行錯誤した」
現実解のある現場での経験には非常に説得力があります。
重要なことは、言語化することです。自分なんてと思わずに、苦しかった時の経験や、楽しかった時の経験を振り返ってみてください。感情が動いている時が主体的に行動している時です。
自分の理想の働き方は思っているよりも近くにあるのかもしれません。
市場価値を知るための具体的なステップ
転職活動において情報収集は非常に重要です。自分の転職の軸が明確にできたならば、自分の市場価値を知る実際の行動へとステップアップして行ってください。
転職活動における自分の市場価値を知る方法は簡単です。
「転職エージェントと面談して自分の市場価値を聞いてみる」
転職エージェントから提案される求人が市場価値の一つの答えです。
実際の求人を見ることで「理想の将来像」が明確になることも考えられます。行き詰まりを感じることがあれば、行動しながら考えることは有効な方法です。(もちろん3つの視点は忘れないでください。)
おすすめの転職エージェント
⇨JACリクルートメント
まとめ:焦らず、でも行動は止めない

転職は、準備次第で「成功」にも「後悔」にも変わります。
しかし、
・自分の悩みに真剣になり、理由を言語化すること
・自分の理想について考え抜いて、ゴールを設定すること
・選択肢は無数にあることを忘れないこと
これらの視点を持つことで転職の後悔は避けることができます。
製造業での経験は、課題発見力や、改善意識など、どの業界でも活かせる経験です。それを言語化することが重要であり、転職はそれを見直す絶好の機会でもあります。
転職が理想の自分に近づくために有効な方法であることは間違いありません。その使い方をしっかり自分自身で理解して有効に活用して欲しいと願っています。
「後悔のない転職」を実現するために、まずは【自分の悩み】と【理想の働き方】を整理し、転職エージェントに相談してみてください。思わぬ気づきや可能性が見えてくるはずです。
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