
よーし…!プラスチックを使ってDIYだ!
プラスチックの板ってある?

何のプラスチックの板が必要なの?

プラスチックだよ。普通のやつ。

普通のと言われても分からないわ。(でも、こういう人いるのよね…。)
プラスチックと一口に言っても、その種類にはいろいろあります。ビニール袋も、ポリバケツもペットボトルもガンプラも、全部プラスチックです。これらは一体何が違うのでしょうか。
今回は、分かっているようでわかっていない、プラスチックの種類について説明します。
- プラスチックの種類とは何か。
- 一般的なプラスチックとは何か。
プラスチックの違いを意識してこなかった人にも分かるように簡単に解説していますので、是非最後までご覧ください。
プラスチックとは何か
工業においてプラスチック(樹脂)は合成樹脂を表す言葉です。「プラスチック」という言葉は、英語で「自由に形をつくれる」という意味です。そのような性質をもつ製品を広く「プラスチック」と呼ぶようになりました。

ふ~ん。結構広い意味でプラスチックって使われているんだね。でも、プラスチックの原料は石油だよね。なんで、同じ石油から色んな種類のプラスチックが生まれるの?

遠回りに思うかもしれないけど、プラスチックの成り立ちから説明するね。
プラスチックの成り立ち

プラスチックは、石油を精製して得えられるナフサという油が原料になります。
このナフサを熱分解反応させることで、エチレンやプロピレンなどのプラスチックのもとになる石油化学基礎製品が作られます。これらの物質は、「水素」と「炭素」がむすびついた「分子」で、「モノマー(単量体)」とよばれます。モノマーが互いに結合し、巨大な分子(高分子化合物)を生成(重合)することで、「(ポリマー重合体)」や高度に重合した「ハイポリマー(高重合体)」となります。例えば、エチレン分子が重合したポリマーは「ポリエチレン」、プロピレンが重合したポリマーは「ポリプロピレン」となります。
これらのプラスチック原料にやわらかくしたり、壊れにくくしたり、色をつけるための添加剤を加えたものを「ペレット」といいます。このペレットから、さまざまな形のプラスチック製品が作られます。
(成形工程の材料については、樹脂成型の材料とはを参照)

プラスチックの違いは、生成された分子の違いなんだね。

どんな分子が、どのように結合(重合)されているか。
つまり、その材質の分子構造によって性質が変わるんだね。
プラスチックの性質による分類
プラスチックは、熱を加えると溶けてやわらかくなり、変形させることができます。冷やすと変形した形のまま固まります。(溶解⇒成形⇒固化)
プラスチックは、冷却によって固化した後の性質によって、2つに大別されます。
- 「熱可塑性樹脂」・・・成形後でも加熱をすると再び変形させることができる。
- 「熱硬化性樹脂」・・・加熱することで硬化する樹脂。成形後に加熱しても変形しない。

固化後の性質から、熱可塑性樹脂はチョコレート、熱硬化性樹脂はビスケットによくたとえられます。
チョコレートは一度固まっても、加熱すれば何度でも成形することができます。ビスケットは一度焼き固めると、成形しなおすことができません。
熱可塑性樹脂の種類
熱可塑性樹脂は、耐熱温度などによって分類されます。
一般的に変形温度が低いため加工しやすく大量利用される「汎用プラスチック」と、耐熱性や機械的強度にすぐれ、力がかかる用途に対応した「エンジニアリングプラスチック(エンプラ)」です。
「エンプラ」には、「汎用エンプラ」と、特に耐熱性に優れた「スーパーエンプラ」があります。


一般材料を考えるならば、汎用プラスチックについて押さえておけばOK。
汎用プラスチック
「汎用プラスチック」は、変形温度が低く成形が容易なため、幅広い製品に使用されています。ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどは比較的安価であるため、雑貨や包装、農業用途など、さまざまな製品の大量生産に用いられています。
汎用プラスチックの主な種類
種類 | 主な用途 | 備考 |
ポリエチレン(PE) | 袋 、ラップフィルム 、包装材 | 3大(4大)汎用プラスチック |
ポリプロピレン(PP) | 自動車部品、家電部品、トレイ、食品容器 | 3大(4大)汎用プラスチック |
ポリ塩化ビニル(PVC) | 上・下水道管、ホース、パイプ、継手、雨樋、波板、サッシ | 3大(4大)汎用プラスチック |
ポリスチレン・スチロール樹脂(PS) | OA・TVのハウジング、CDケース、食品容器、カップ麵容器、プラモデル | 4大汎用プラスチック |
ABS樹脂(ABS) | OA機器、自動車部品(内外装品)、電機製品、ゲーム機、プラモデル | – |
AS樹脂(SAN) | 食卓用品、使い捨てライター、電機製品 | – |
ポリエチレンテレフタレート(PET) | ペットボトル、容器、絶縁材料、光学用機能性フィルム、磁気テープ | – |
メタクリル樹脂(PMMA) | 自動車のテールランプレンズ、コンタクトレンズ、食卓容器、照明板、水槽プレート | – |
汎用エンプラ
エンジニアリングプラスチックは強度が高く、比較的高温の場所でも使用に耐えられるという特性を持っています。そのため、高性能であることを求められる工業用品によく使用されていますが、その分価格は高価です。
汎用エンプラの主な種類
種類 | 主な用途 | 備考 |
ポリアミド(PA) | 自動車部品 、ファスナー 、テグス | 5大汎用エンジニアリングプラスチック |
ポリカーボネート(PC) | ヘッドライト、スマートフォンケース | 5大汎用エンジニアリングプラスチック |
ポリアセタール(POM) | 歯車 、自動車部品 、ファスナー | 5大汎用エンジニアリングプラスチック |
変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE) | 精密機器 、スイッチ 、アダプタ | 5大汎用エンジニアリングプラスチック |
ポリブチレンテレフタレート(PBT) | モーター部品 、電子部品 | 5大汎用エンジニアリングプラスチック |
熱硬化性樹脂の種類
熱硬化性樹脂(プラスチック)は、使われている量は少ないですが、その性質上、機能部品や構造部品として使われることが多いです。
フェノール樹脂
フェノール類とアルデビド類が原料で、ここにさらに触媒をくわえ作り出します。JISの略号では「PF」という表記です。
フェノール樹脂は高温にも耐えられるため、アイロンハンド、やかんの取手やつまみ、配電盤ブレーカーなどにも使用可能です。そのほか、プリント基盤、合板接着剤などにもよく使用されます。
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は硬化剤を入れることにより成形するため、基本的に単体では使用せず、硬化剤とあわせて使用します。
エポキシ樹脂は、建築や自動車、船舶などのコーティングや、接着剤としてよく使用されています。丈夫で物理的特性、化学的特性、電気的特性にも優れているため、電気製品にも使用されています。
まとめ
- プラスチックはその物質の元になっている石油化学基礎製品や重合方法の違いにより、それぞれ性質が異なる。
- プラスチックは、加熱して成形することができるもの(熱可塑性樹脂)と、加熱して硬化するもの(熱硬化性樹脂)で分類できる。
- 使用されているプラスチックの多くは熱可塑性樹脂であり、その中でも汎用プラスチックに分類される(PE,PP,PVC)が幅広い用途で使用されている。

よく聞くプラスチックの名前だけでも、いろいろ種類があるんだね。

種類ごとに特性が変わってくるから、用途によって使い分けようね。
シャルは何のためのプラスチックが必要だったの?

下敷き

・・・・・・・・。
(ポリ塩化ビニル(PVC))