30歳を過ぎて、ふと立ち止まって考えることが増えてきた──
「このままでいいのだろうか」「何かを変えるなら今なのではないか」
そんな思いが、心のどこかに芽生えてはいませんか?
昔は、一人前になることで精一杯でした。
ようやく仕事を覚え、先を見渡せる余裕も出てきたところ。
でも、年齢とともに、中堅としての責任だけでなく、“自分自身のこれから”にも目を向けるようになったのではないでしょうか。
製造業を取り巻く環境も、目まぐるしく変化しています。
AIや自動化の進展、海外勢との競争激化──
ニュースを見るたび、「このままで通用するのか」と不安になったり、
転職・副業・リスキリングなど、周囲の動きに焦りを感じたりすることもあるかもしれません。
だからこそ今、自分自身の「軸」を持つことが何より大切です。
変化の波に流されるのではなく、自分の意志でキャリアを築くために。
この記事では、製造業で10年以上営業として働いてきた私が、
“これからの時代を生き抜くために必要だと感じたキャリア戦略”を、実体験を交えて紹介します。
本記事で紹介するキャリア戦略は、次の3つです。
- 「自分の武器」を認識する
- 「スキル」を磨く(専門性×汎用性)
- 「小さく」挑戦する
これらの戦略を持って行動すれば、今の環境に縛られず、将来にわたって必要とされ続ける人材になれます。
この記事を読み終えるころには、
✅ 製造業営業としての「自分の強み」が明確になり
✅ 将来に向けて何を学び、どう動くべきかのヒントが得られるはずです。
ぜひ、最後までお読みください。
1. なぜ35歳から“生き残るスキル”を考えるべきなのか?
まずは、なぜ今「キャリア戦略」が必要なのかを改めて確認しておきましょう。
「年功序列が崩れた」と言われて久しいですが、あなたは本当にその変化を実感していますか?
かつてのように、「年齢を重ねれば自然と昇進・昇給する」という時代では、もうありません。
私のいた製造業の会社にも、年齢だけで高い給料をもらっている人が何人もいました。
正直なところ、「自分もなんとかなるだろう」と思っていた時期もあります。
でも、転職活動を通じて「市場の評価」と「時代の流れ」を理解していなければ、私もそのままだったかもしれません。
今は「実力主義」「スキル重視」が明確な流れとなっており、それは次のようなデータからも明らかです。
2025年度に実施された『企業が取り組む予定の人事施策』の調査によると
- 「給与・報酬の透明性向上」(37.2%)
- 「タレントマネジメントシステムの導入・改善」(31.4%)
- 「成果主義・行動評価に基づく新評価制度の導入」(26.7%)
といった“実力や成果を重視する制度”の導入が上位を占めています。

また、採用の現場でも「ジョブ型人事制度」の導入が進み、
すでに22.3%の企業が導入済み、42.4%が検討中と、過半数が実力評価にシフトしつつあります。

つまり、「成果を出せるかどうか」が給与や採用を左右する時代に変わっているのです。
製造業の現場でも、AIや自動化の波が確実に押し寄せています。
例えば、ミスミ社の「meviy」は、図面データをアップロードするだけで見積もりから発注までを自動化してしまいます。
これは営業・設計・製造のプロセスすら大きく変える可能性を示しています。
政府も「生産性向上のためにロボット・AIの導入を推進する」と明言しており、こうした技術革新の流れは避けられません。
”労働力不足の中、生産性や産業競争力の向上に向け、 ロボット・AIの開発・活用の推進も重要。少量多品種生産をは じめとした、高度かつ多様なニーズに対応するためにも、ロボットシステム開発やAIの開発・活用支援を政府としても推進。”
(出典:2025年版 ものづくり白書)
つまり、今のスキルややり方が、今後も通用するとは限らないということです。
とはいえ、35歳を過ぎても十分チャンスはあります。
マイナビの調査では、
転職後に年収が上がった人の割合は、30代で49.5%、40代で47.9%
ミドル層でも、適切な準備と行動をすればキャリアを有利に進めることができるのです。

また、企業側も社員のキャリア開発支援に力を入れており、
「リスキリング(学び直し)」を重要な経営課題として位置づける企業は、
大企業で64.7%、全体で83.1% に達しています。

つまり、「学び続けること」はもはや前提条件です。
少し厳しいことを言うようですが、ひとつだけ自問してみてください。
「今の仕事、他の会社でも通用しますか?」
閉じた環境の中だけで働いていると、自分の価値に気づきにくくなるものです。
あなたがこれからも生き残っていくためには、今のキャリアやスキルを見直すことが欠かせません。
2. 製造業営業の強みとは?〜「自分の武器」を認識する〜
転職やキャリアを考えるとき、「今の仕事は他では通用しないのでは」と不安になる方も多いと思います。
ですが、製造業の営業で培った「提案力」「技術理解」「調整力」は、実は他業界でも高く評価される普遍的なスキルです。
ここでは、他業界の営業にはなかなかない“製造業営業ならではの強み”を、具体例を交えて紹介します。
① 「現実的な提案」ができるという強み
営業として顧客の要望を受けるだけでなく、製造工程・納期・コストといった社内事情も踏まえて「落としどころを探る」。
これは、製造業の営業が日々向き合っている課題です。
私自身、若手のころは客先の要望をそのまま鵜呑みにしてしまい、現場から「何にもわかってねえな!」と怒鳴られたことも何度もありました。
ですが、そうした失敗を経て、徐々に“現実的な提案”ができるようになり、社内外から信頼を得られるようになりました。
こうした経験は、他業界では得づらい『実行可能性を見極める力』や『調整力』に通じます。
安請け合いしない営業は、長期的な信頼を勝ち取るのです。
② 技術がわかる営業という希少価値
製造業の営業の相手は、設計・開発など技術職であることが多いはず。
そのため、図面や構造を理解し、技術的な会話ができることが求められます。
私もこれまで、お客様から「製品構造を理解し、技術者と会話できる営業は貴重」と言われたことが何度もあります。
あるときトラブル対応で訪問した際、担当者に「技術者じゃないと話にならない」と言われたのですが、話を進めるうちに「営業の人とここまで深い話ができるとは思わなかった」と驚かれたこともありました。
このように『技術がわかる営業』は、業界を越えても希少価値が高い存在です。
特に、SaaS企業・技術系商社・製品企画など、テクニカルセールスが求められる職種では、大きな武器になります。
③ 主体的に動ける「調整力」はどの業界でも通用する
もう一つ、見逃せないのが製造業営業が日々担っている「多部門を巻き込んだ調整・改善」のスキルです。
製造、調達、品質、技術など、さまざまな部署と連携しながら課題を前に進める経験は、まさに『組織で成果を出すための力』に他なりません。
実際、私が転職活動をした際にも、この経験は強く評価されました。
特に、「他部門を動かす力」や「自ら課題に踏み込む姿勢」は、どの業界でも歓迎される要素です。
もし今、製造業の営業として日々課題解決に動いているなら、あなたにはすでに価値あるスキルがあります。
「現場視点の提案力」「部門横断の調整力」「技術のわかる営業力」──それらは、他業界でも通用する立派な『武器』です。
転職に向けて最初にすべきことは、「今ある経験や強みを、改めて自分自身が認識すること」。
その一歩から、キャリア戦略は始まります。
これまでの経験を「武器」として認識できたなら、次に考えるべきは、それをどう活かし、広げていくかです。
特にこれからの時代は、特定の業界や職種に依存しすぎず、「応用の効くスキル=汎用性」を持つことが重要になってきます。
次章では、製造業営業で得た専門性をベースに、どうやって汎用性を高めていくか。その戦略について私自身の体験を交えて解説していきます。
3. 私が選んだ“生き残るスキル”〜スキルを磨く|専門性×汎用性〜

私が転職を考える中で重視したのは、「今あるスキルをどう活かし、どう広げるか」でした。
そして選んだのが、英語スキルと他業界(半導体業界)での経験です。
どちらも“専門性を深める”というよりは、汎用性を高めるための選択でした。
まず、英語について。
実際に求人票を見てみると、「英語スキル歓迎」と記載されている案件はかなりの数にのぼります。
ただ、ここで求められるのは資格だけではなく、「実務で英語を使った経験」です。
そこで私は、「英語を日常的に使う職場」への転職を選びました。
実務経験があれば、次の転職でも“英語が使える人材”として評価されやすくなります。
もうひとつの選択は、異業界への挑戦です。
特に、伸びている業界(私は半導体業界を選びました)で実績を出すことは、次のキャリアでも「他業界でも成果が出せる人」という証明になります。
注目されている業界での経験は、企業側から見てもネームバリューがあり、結果的に年収アップにもつながります。
どちらも、「今ある自分の専門性」を活かしながら、応用が利くスキルに変えるための選択でした。
では、なぜ私は“汎用性”に注目したのか。
次でその理由をお伝えします。
理由はシンプルです。
時代の変化に対応するためです。
今は「一社にずっと勤めれば安泰」という時代ではありません。
終身雇用の終わり、副業・転職の一般化、さらにはAIや自動化の進展——
どの業界も、急激に変化の渦中にあります。
こうした変化においては、「この会社でしか通用しないスキル」だけでは不安定です。
特定の業界や職種に依存せず、どこでも通用する汎用スキルがあることが、キャリアのリスク分散になります。
第2章でも触れたように、会社員の将来には「環境変化への適応力」がより一層求められるようになります。
だからこそ、汎用性を持ったスキルの選択と強化が重要なのです。
では、専門性と汎用性、どちらが大切なのか?
私の答えは「両方」です。どちらか片方では、武器として不十分です。
たとえば、製造業の営業として身につけた「現場視点の提案力」は貴重な専門スキルです。
しかし、それが“今の会社の中でしか通用しないもの”であれば、環境が変わったときに武器にはなりません。
一方で、「Excelが使える」「プレゼンが上手い」といった汎用スキルだけでは、AIやツールに代替されてしまう時代です。
汎用スキルだけでは、人材としての価値を維持できません。
だからこそ、「専門性 × 汎用性」が両立してこそ、真に生き残れるスキルになるのです。
私の例で言えば、「製造業の営業経験」という専門性に、「英語力」や「他業界での実績」という汎用性を掛け合わせることで、キャリアの選択肢が広がりました。
武器をひとつ増やすことで、専門性がより活きる場面が増える——これは転職活動を通じて強く実感したことです。
私が取り組んだのは、以下のような小さな一歩でした。
- 英語スキルの強化:オンライン英会話を活用し、まずは「英語を話すこと」への抵抗感を減らす。
実践の場を得るために、英語を使う環境の職場に転職。 - 成果:TOEICスコアもアップし、会議でのリスニングが少しずつできるように。
完璧には話せませんが、「言っていることがわかる」だけでも、仕事の幅が変わります。 - 異業界経験の蓄積:半導体業界という未経験領域に飛び込み、まずは業界知識を吸収。
前職のスキルを活かしながら成果を出すことで、「業界を越えて通用する実績」が手に入りました。
ここまで読んで、「自分のキャリアにも、活かせる要素があるかも」と感じた方もいると思います。
では、あなたなら何を選ぶでしょうか?
- 自分の専門性を活かすには、どんな汎用スキルを掛け合わせるべきか?
- より自分で追求したい専門的なスキルはありますか?
次章では、私が実際に行った「小さく試して広げる」ステップをご紹介します。
大きく環境を変える前にできることはたくさんあります。
4. キャリアの可能性を広げる3つの小さな挑戦

ここまで読んでくださった方の中には、
- 「自分には専門スキルも汎用スキルも足りない気がする」
- 「何をどう始めればいいかわからない」
- 「転職も頭にはあるけれど、自信が持てない」
こうした不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
そんな方にまずお伝えしたいのは、スキルや強みの価値は、“試してみないとわからない”ということです。
包丁の切れ味が、何かを切ってみないとわからないように、
自分のスキルが市場で通用するかも、実際に行動してみてはじめて見えてきます。
とはいえ、大きな環境変化や思い切った転職をいきなり勧めるわけではありません。
大事なのは、小さく挑戦してみること。
ここでは、キャリアを広げるために私が実践してきた「3つの小さな挑戦」をご紹介します。
① 転職市場で、自分の「今」を評価してみる
転職活動と聞くと、「いきなり会社を辞めるもの」と思う方もいるかもしれません。
でも実際には、まずは情報収集から始めることができます。
たとえば…
- 転職エージェントに相談してみる
- 求人サイトを眺めてみる
- 自分の経験と、企業が求めるスキルを照らし合わせてみる
こうした行動によって、自分のスキルや経歴がどのように市場で評価されそうか、仮説が立てられるようになります。
私自身も、転職サイトで求人の現実を知ったことで、「今の自分に足りないのは英語だ」と気づき、英語学習を始めました。
「自分はまだ足りない」と気づくことはネガティブではありません。
今の立ち位置がわかれば、目指す方向がより具体的になります。
② スキルを磨く:近くの環境から始めてみる
新しいスキルを身につけるといっても、いきなりやったことのないことに挑むのは難しいですよね。
だからこそ、「今の環境でできる小さな挑戦」から始めるのが現実的です。
たとえば:
- 技術的な製品知識を深めたいなら、日々のやり取りで「なぜそうなるのか?」をより意識して聞く
- プレゼンが上手な同僚がいるなら、どうやって上達したのか聞いてみる
- 気になるスキルがあるなら、詳しい人から話を聞いて真似してみる
私も、物知りな同僚に「どうやってそんなに知識を身につけたのか?」とよく質問していました。
全部を真似できなくても、何かひとつでも行動に移すことが成長に繋がります。
③ スキルを試す:小さく発信してみる
自分のスキルに少しずつ自信が持てるようになったら、
それを周囲に表現する・実践の場で意識的に使ってみることも重要です。
たとえば:
- 交渉力に強みがあると気付いたなら、商談でそのスキルを意識してみる
- 技術的な折衝に強みを感じたなら、議論の場で自分から一歩踏み込んだ発言をする
私も、「技術的な会話に自信があるかもしれない」と思うようになってから、ただのタスクだった仕様打ち合わせが、楽しみなチャレンジの場となり、少しずつ『自分の得意分野』として確立されていったのです。
スキルは、積み重ねることでしか身につきません。
都合のよい近道や裏技は存在しませんが、「小さく、試す」ことは誰にでもできます。
大きな決断や大胆な転職の前に、まずは今の環境でできる一歩を踏み出してみましょう。
その一歩が、きっとあなたのキャリアの可能性を広げてくれるはずです。
5.転職やキャリアに迷ったとき、思い出してほしい3つの視点【まとめ】
本記事では、30代を迎えた中堅層こそキャリア戦略が重要であることをお伝えしてきました。
冒頭では、データをもとに今後の働き方や人材評価が「実力主義」にシフトしていく現実に触れました。
だからこそ、今の30代は“今後のキャリアをどう築いていくか”に真剣になる必要があります。
そのためのヒントとなるのが、以下の3つの視点です。
視点 | ポイント | 自分に問いかけてほしいこと |
---|---|---|
① 自分の「武器」は何か? | 製造業営業ならではの提案力・技術理解・調整力 | 自分が当たり前にやってきたことに、どんな強みがあるか? |
② どんなスキルを磨けば「生き残れる」のか? | 専門性と汎用性のバランスでキャリアを設計 | 今の自分に足りないのは「深さ」か?「幅」か? |
③ 小さく試して、可能性を広げる | 試す→気づく→磨く、の循環を回す | 明日からできる“1つの小さな行動”は何か? |
完璧なスキルや正解を探し続ける必要はありません。
まずは「今の自分を知ること」、そして「身近なところで試すこと」から始めてみてください。
小さな挑戦を重ねることで、自分のキャリアの輪郭は少しずつ、でも確実に見えてきます。
キャリアの正解を誰かが教えてくれることはありません。
だからこそ、自分の「強み」を知り、「可能性を広げる視点」を持つことが何より大切です。
小さな一歩を積み重ねるあなたの姿勢が、数年後の自分の未来を確実に変えていきます。
まずは「最初の一歩」から
「何から始めればいいかわからない…」という方は、以下のステップから始めてみてください。
転職エージェントでキャリアの棚卸しをしてみましょう。
自分の経歴がどんなふうに評価されるのか、客観的に知るだけでも大きなヒントになります。
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キャリアの選択肢を広げる上で「英語」は大きな武器になります。
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