
樹脂の材料ってそもそもどんな状態で売られているの?

射出成形等で使用するペレットが一番一般的かしら。ただ、金属材料と同じように押出成形された2次製品としての材料もあるよ。

ペレット?2次製品?どういうこと?

樹脂の成型方法はいっぱいあるけど、加工業者の目線での樹脂材料について解説するね。
樹脂の成形方法と検索すると、「射出成型」「ブロー成型」「押出成型」「真空成型」「圧空成型」など多様な方法が出てきます。詳しい成形方法の解説は他のサイトにお任せするとして、ここでは、樹脂材料を加工しようとしている、またはその方をお客様としている方々目線での樹脂材料の作り方について解説します。
1.樹脂材料の原料『ペレット』

ペレットってなんかかわいいね。動物のエサのこと?

粒状の形をしたものをペレットというから、成型された動物のエサも同じように呼ばれるね。樹脂のペレットは絶対にあげちゃだめよ…!

樹脂は石油から作られているというのは聞いたことがあるでしょうか。石油からペレットになるまでには、複数の精製工程を経る必要があります。先ず、石油から『ナフサ』を精製し、それに熱を加え「エチレン・プロピレン・ベンゼン」などのプラスチック原料が作られます。これらのプラスチック原料にやわらかくしたり、壊れにくくしたり、色をつけるための添加剤を加えたものを「ペレット」といいます。
樹脂の原料については、プラスチック材料って何?樹脂って何?みんな似たようなもの?を参照

ペレットは鉄でいうところのコークスや、金属地金のインゴットと同じ役割だと考えるとわかりやすいかな。
2.樹脂の成形方法
樹脂も金属材料の作り方と同じ、基本的に溶かすことで成形します。加熱して溶かしながら金型に流し込んだり、押し込んだりするのです。プラモデルで使われるプラスチックやペットボトル、食品トレーなどは、射出成形という方法で成形されます。前述したペレットを加熱して溶かし、金型に充填するのです。
射出成形
射出成形は、最も一般的な方法です。金型に加熱した樹脂を注射のように金型に充填し、冷却して固めて成型します。一度金型を作っておくと同じ形の製品を早いペースで生産できることが特徴です。

原料から最終製品まで一気に作っちゃうんだね。

樹脂製品の精度を左右する金型は、それだけ重要な部品であるということね。
押出成形
押出成形とは、熱で溶かした樹脂を押し出して連続で成形する方法です。ほかの成形方法のように、金型に樹脂を入れたり金型内で冷やしたりはしません。
板材や丸棒などの製品はこの方法で成形されます。フィルム・シート・チューブなど仕上げ加工が不要な製品もあります。

金属材料で地金のインゴットから丸棒を作る方法と同じだ。
他にも「ブロー成型」「真空成型」「圧空成型」「カレンダー成形」など、様々な成型方法がありますが、基本は同じです。
溶かして、希望の形にして、固めて取り出す。これが作り方です。
3.押出成形された材料
樹脂の板材や丸棒、シートは押出成形で作られます。そしてその製品を材料にして、機械加工などの仕上げ加工を行う場合があります。射出成型で作るのではなく、板や棒から削り出す理由は、金型の製作費はとても膨大だからです。小ロットの製品を製作する際には、射出成型は不向きとなります。
板材、丸棒等の成形材料の取り扱いメーカーはたくさんあります。個人的な主観にはなりますが有名なメーカーを以下に記載しました。
- 東レプラスチック精工
- エス・ケー・エスエンジニアリング株式会社
- エンズィンガージャパン株式会社
- クレハエクストロン株式会社
- タキロン・ローランド株式会社
4.まとめ
- 樹脂製品は石油を精製してつくられたペレットを原料としている。
- ペレットを加熱して溶かし、希望の形状に成形することで樹脂製品は作られている。
- 射出成型などの金型を使用して製品を作る方法と、押出成形によってつくられた板材や丸棒を材料として使用する方法がある。

成形方法の違いによるメリットデメリットは、金属の板と鋳物、押出加工品の話と似たところがあるね。

加熱して成形してつくるという点でいえば、金属材料と樹脂材料は共通しているといえるね。
用途に応じて適切な加工方法が選ばれるということも、ものづくりで共通している事柄だと思うわ。

…えっとそうすると、わたしのフィギュアを成形するために適した加工方法は…。

…射出成形で作れるようになるかしら。