アルミニウムの種類が多すぎる…!

シャル
シャル

ねぇ!アルミニウムの種類って多すぎない!?

テオ
テオ

まぁ、他の金属も色々な種類があるけど、アルミニウムはいろんな種類の材料が幅広く利用されているっていうイメージかしら。

シャル
シャル

番号の羅列を見ているだけだと全然頭に入ってこないよ…。

テオ
テオ

材料個別の説明よりも、アルミニウムがどのように仲間分けされていて、どんな風に名前がついているのか。

まずは全体的な見方を知った方がいいんじゃないかしら。

この記事を読んでほしい人
  • アルミニウムの規格はいろいろあるけど、なぜ違いがあるのかわからない
  • 合金番号を丸暗記するのではなく、番号の意味を理解したい

アルミニウムは、金属の中でも軽く非常に柔らかい性質を持っていますが、用途によっては強度が不十分である場合があります。
そんな純アルミの弱点を補うために、銅やマンガン、ケイ素やマグネシウムなどのほかの金属を加えることで強度を高めつつ軽い金属 アルミニウム合金が作られます。

この記事ではそのアルミニウム合金の種類について、分類方法やそれぞれについている合金番号について解説しています。

この記事で分かること
  • アルミニウムにはなぜ種類があるのか
  • アルミニウムはどのように分類されているのか
  • 合金番号は何を意味しているのか

アルミニウムの種類とは

シャル
シャル

アルミニウムに種類があるってどういうこと?アルミっていう金属でしょ?

テオ
テオ

アルミニウムと一口に言っても他の金属元素を添加したり、熱処理によって性質を変化させているの。

99%以上がアルミである純アルミとアルミに様々な金属元素を添加して、性質を変化させたアルミ合金とがあります。

アルミニウム合金の分類

アルミニウム合金は、展伸材と鋳物材に大別でき、さらにそれは非熱処理合金と熱処理合金に分けられます。

展伸材とは

プレスや押出加工、引抜き加工等により、板、条、形材、箔、棒、線などの形状に加工した材料のこと

テオ
テオ

この記事では展伸材のアルミ合金について解説しています。

非熱処理合金

非熱処理合金とは、圧延など冷間加工によってのみ強度を高めることのできる合金。非熱処理合金にも焼なましや安定化のような熱処理を行なうことがあります。

1000系(純アルミ)、3000系(Al-Mn系)、4000系(Al-Si系)、5000系(Al-Mg系)

熱処理合金

アルミニウム中に常温では混ざり切れない量の合金元素を添加し、高温で十分に混ぜた後冷却し、時間とともに微細な金属間化合物を析出させ、強度を増大させた材料です。

2000系(Al-Cu系)、6000系(Al-Mg-Si系)、7000系(Al-Zn-Mg系)

※時効処理、析出硬化処理については、時効処理・析出硬化って何?を参照

シャル
シャル

熱処理で強度を変化させることができる材料と、そうでない材料で大きく分けられるのね。

○○○○系ってことは、この中でいろんな合金があるのか…。

テオ
テオ

次は、アルミ合金毎の名前みたいなもの『合金番号』について解説するね。

アルミニウム合金番号の意味

JIS規格では、アルミニウム及びアルミニウム合金に下記のような分類表示を用いています。

①:Aluminium(アルミニウム)を表す「A」

②:合金の種類を表す

  1. 純アルミ(アルミ純度99.00%又はそれ以上のアルミニウム)
  2. アルミニウム合金(Al-Cu系)
  3. アルミニウム合金(Al-Mn系)
  4. アルミニウム合金(Al-Si系)
  5. アルミニウム合金(Al-Mg系)
  6. アルミニウム合金(Al-Mg-Si系)
  7. アルミニウム合金(Al-Zn-Mg系)
テオ
テオ

ここの数字でA5052を5000系と言ったり、A2017を2000系と言ったりしているよ。

③:0は基本合金を1〜9は改良合金・派生合金を表わす

④:純アルミ – アルミ純度小数点以下2桁を表す
      (例)A1070= 純度99.70%のアルミニウム
  合金 – 旧アルコア規格1呼称の合金数字
  日本独自の合金 – 合金系別制定順

⑤:材料の形状を表す

記号意味英語
P板、条、円板Plate
PC合わせ板Plate(Clad)
HはくHaku
BE押出棒Bar(Extruded)
BD引抜棒Bar(Drawn)
WWire
TE押出管Tube(Extruded)
TD引抜管Tube(Drawn)
TW溶接管Tube(Welded)
S形材Shape
FD型打鍛造品Forging(Die)
FH自由鍛造品Forging(Hand)

⑥:質別を表す(調質記号)

調質記号意味
F製造のままのもの。
H加工硬化により強さを増加したもの
H14冷間加工を行い加工硬化させたもの 1/2硬質
H18冷間加工後、加工硬化させたもの 硬質
H34冷間加工後、加熱により(150℃位)安定化処理をしたもの 1/2硬質
H112展伸材においては積極的な加工硬化を加えず、製造状態で機械的性質の保証されたもの
O焼鈍2により最も軟らかい状態になったもの。
T3溶体化処理3を行い、冷間加工した後、自然時効されたもの
T4溶体化処理を行い、積極的な冷間加工を加えず、自然時効4されたもの
T5押出材のように高温の製造工程から冷却後積極的に冷間加工を加えず人工時効処理5をしたもの
T6溶体化処理後、積極的に冷間加工を加えず、人工時効処理したもの
T8溶体化処理後、強度を増加させるために冷間加工を行い、更に人工時効処理をしたもの
T351溶体化処理後、冷間加工を行い、また引張加工により残留応力を除去し、自然時効させたもの
T451溶体化処理後、引張加工により残留応力を除去し、自然時効させたもの
T651溶体化処理後、引張加工によって残留応力を除去し、さらに人工時効処理をしたもの
注釈
  1. かつてアメリカのアルミニウム会社(アルコア Alcoa)が使用していたアルミニウムおよびその合金の規格記号 ↩︎
  2. 焼鈍(やきなまし)とは、鋼材などを加熱し、熱処理を行うことで、硬度を下げ、靭性、加工性を高める方法のことです。 ↩︎
  3. 溶体化処理は、金属材料を高温下で溶かし、結晶の再配列や改質を行うことによって、材料の性質や機能を向上させる熱処理法 ↩︎
  4. 自然時効は、室温で自然に時間をかけて行われる処理 ↩︎
  5. 人工時効は、特定の温度で加熱し、短時間で強度向上を図る処理 ↩︎
シャル
シャル

例にあげている合金は①アルミニウムで②5000系(Al-Mg系)の③基本合金④52番合金で⑤形状は板材⑥H34の調質がされている…!

テオ
テオ

この番号でどんな材料かおおまかなイメージができるようになったら、もうプロね…!

まとめ

  • アルミニウムは、その用途に応じて様々な合金を添加されているアルミニウム合金として使用されている。
  • アルミニウムは、添加されている合金元素の種類や、熱処理の有無で分類されている。
  • 添加されている合金の種類で2000系、5000系などの分類がされている。
  • 合金番号は、合金の種類と調質内容が記載されているその材料の名前みたいなものである。
シャル
シャル

合金番号を見ただけでフリーズしていたけど、これで少しは頭に余裕ができたかも。自分の頭の中に棚が用意できたような感覚!

ただ、本当に種類が多いね。調質の種類がエグすぎる…。

テオ
テオ

質別(調質内容)があることはアルミニウム材料の特徴ね。これは複雑だと思うから別の記事でも解説しようと思うわ。

シャル
シャル

軽くて柔らかいアルミニウムの特性を活かしながら強度も欲しいなんて、全くわがままな金属だぜ。

テオ
テオ

アルミニウムはあれやこれやの要望に、合金化や調質で対応することができる汎用的な金属なのよ。

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